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ASP感染管理のQ&A | ASP Japan合同会社

職員ワクチン接種時の抗体価検査について

職員ワクチン接種の際の麻疹・風疹・水痘・流行性耳下腺炎(ムンプス)抗体検査についてお尋ねします。

  1. EIA-IgG値での管理が第1選択ですが、コストの面を考慮して他の検査方法を検討しています。
  2. EIA-IgG値が疾患ごとに異なるのは煩雑とのことで、一律に10を基準値としている施設があるようです。

この2点についてのご意見をお聞かせください。

 

麻疹・風疹・水痘・ムンプスの抗体検査にはEIA法(enzyme immunoassay: 酵素免疫測定法)、PA法(particle agglutination: ゼラチン粒子凝集法) 、HI法(hemagglutination inhibition: 赤血球凝集抑制反応) 、NT法(neutralization test:中和法)、IAHA法(immune adherence hemagglutination: 免疫粘着赤血球凝集反応)がありますが、EIA法が最も高価な検査法であることが知られています。そのため、費用について考慮するとEIA法以外の検査も魅力的です。

しかし、大切なことは安価な検査を選択するのではなく、検査結果をどのように解釈すればよいかということです。従って、解釈法を確認してから検査法を選択することになります。

2009年、日本環境感染学会は「院内感染対策としてのワクチンガイドライン」を公開しました1)。ここでは様々な検査法において「基準を満たす」とする数値を公開しています。

表 抗体の検査方法と判断基準の目安

EIA(IgG)法の場合は「麻疹(16.0以上)、風疹(8.0以上)、水痘(陽性)、流行性耳下腺炎(陽性)」が基準を満たす抗体価であるとしています。EIA(IgG)法以外の検査法では、麻疹は中和法(1:8以上)またはPA法(1:256以上)、風疹はHI法(1:32以上)、水痘はIAHA法(1:8以上)が基準を満たすものとしています。流行性耳下腺炎についてはEIA(IgG)法のみが用いられています。

基本的には、抗体検査が「基準を満たす」と判定された医療従事者にはワクチンを接種する必要はありません。抗体は陽性であるものの、基準を満たすまでの抗体価ではない場合には、ワクチンを1回接種することが推奨されています。抗体が陰性の場合は2回接種が勧めらます。

参考文献
  1. 日本環境感染学会. 院内感染対策としてのワクチンガイドライン
    http://www.kankyokansen.org/other/vacguide.pdf

この質問に回答いただいたのは・・・

矢野邦夫先生

浜松医療センター 副院長 兼 感染症科長

1981年名古屋大学医学部卒業、名古屋掖済会病院、名古屋第二赤十字病院、名古屋大学病院を経て米国フレッドハッチンソン癌研究所留学。帰国後、浜松医療センター。同院在籍中、ワシントン州立大学感染症科にてエイズ臨床短期留学、米国エイズトレーニングセンター臨床研修終了。2008年より同院副院長。医学博士、ICD、感染症専門医、血液専門医、内科認定医、藤田保健衛生大学客員教授、浜松医科大学臨床教授。

聖路加国際病院 医療安全管理室 インフェクション・コントロール・プラクティショナー 坂本史衣先生