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ASP感染管理のQ&A | ASP Japan合同会社

MRSAのスクリーニングについて

介護施設から急性期病院に入院された患者全てに、MRSAのスクリーニングをする必要がありますか?

 

平成17年に通知された医療法「医療施設における院内感染の防止について」1)では、以下の研究報告を参考に改正されています。

「鼻腔スクリーニングなどの監視培養は対象を限定して、入退院を繰り返している者、過去に耐性菌感染の既往がある者、侵襲の過大な手術の予定者、臓器移植患者など、それぞれの病院でハイリスクグループを決めて必要に応じて実施すべきであり、全患者を対象としたスクリーニングの意義は疑問視されている。」2,3)

この研究報告より、介護施設から入院された患者全てにMRSAスクリーニングを行う必要性はなく、スクリーニングの対象を限定したマニュアルを作成して対応します。

当院では、MRSAスクリーニングは対象患者を限定して、入院時やICU・NICU入室時に実施しています。

<MRSAスクリーニングの対象患者>

  1. MRSAを保有している可能性が高い患者
    • 入院歴のある患者や転院してきた患者、担送患者や外傷患者、カテーテルなどが挿入されている患者、褥瘡や皮膚に炎症がある患者
  2. 手術や化学療法を受ける患者

鼻腔・創部・尿などの検体について、MRSAスクリーニング培地を使ってMRSAを選択的に培養検査していますが、MRSAスクリーニングによる監視培養では、一般細菌や他の耐性菌、多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDRAB:multiple drug resistant Aeinetobacter baumannii)、多剤耐性緑膿菌(MDRP:multiple drug resistant Pseudomonas aeruginosa)などを検出することができないため感染症を疑う場合や抗菌剤を投与する前には、血液培養(2セット)などを適切に採取して検査することが最も重要なことといえます。

参考文献
  1. 厚生労働省医政局指導課長:医療施設における院内感染の防止について.医政指発第0201004号, 2005.
    http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1.html
  2. 大久保憲:平成15年度厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)分担研究報告書、国・自治体を含めた院内感染対策全体の制度設計に関する緊急特別研究「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」.
    http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1a.html
  3. Ayliffe GAJ, Buckles A, et al. Revised guidelines for the control of methicillin-resistant Staphylococcus aureus infection in hospitals> J Hosp Infect 1998; 39:253-290.

この質問に回答いただいたのは・・・

島崎豊先生

愛知県厚生連海南病院 医療安全管理部 感染対策室 感染管理責任者 看護師長

1977年大雄会一宮看護専門学校卒業、大雄会病院、知多市民病院、1990年より現職。日本看護協会感染管理、聖路加国際病院感染管理、国立国際医療センターエイズ看護、県立愛知病院結核感染予防などの研修を修了。1994年感染管理責任者。医療安全管理部、感染対策室を立ち上げ現在に至る。日本医療機器学会理事、日本環境感染学会評議員、職業感染制御研究会幹事、中部地区中材業務研究会会長、歯科感染予防研究会会長。

愛知県厚生連海南病院 医療安全管理部 感染対策室 感染管理責任者 看護師長 島崎豊先生