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ASP感染管理のQ&A | ASP Japan合同会社

滅菌物の搬送について

  1. SPD業務を請負っている医療機関で、物品の搬送時に看護師さんより指摘を受けました。未滅菌物(オムツ)を搬送時、「床より30cm離さないと、不潔です。」との指摘です。滅菌物の保管・搬送に関しては、下記の様に指導され業務にあたっています。
    ・滅菌物の保管方法として、床(20cm)、外壁(5cm)、天井釣り付け器具(46cm)以上の距離を保つ。
    ・滅菌物の搬送については、台車の消毒・圧迫・落下を避ける。
    未滅菌物に付いての取り扱いの文献を見つける事が出来ませんが、文献が無いからという理由で「今まで通りの運用で問題無い」とも言えません。この点についてご回答を宜しくお願いします。
  2. また、搬送台車の高さについて質問があります。
    滅菌物の搬送する台車の高さについても、開放型の棚と同様に20cmを保つとの取り決めにて業務を行っています。搬送台車の高さは20cm以上を満たさなくてもガイドライン通りの運用となるのでしょうか。

 

ご質問の未滅菌(オムツ)の搬送方法について明確なエビデンスを見出すことはできません。たとえ未滅菌の物品でも、オムツは患者さんに直接使用されるので、包装してある製品であっても一定の取り決めが必要と思われます。
一つの考え方として、滅菌物を開放棚にて保管する際の基準(床から20cm以上、天井取り付け具から46cm以上、外壁から5cm以上離す事が必要)1) を参考にされるとよいでしょう。具体的には、未滅菌の物品であっても搬送や保管するときは床より20cm以上の高さを確保するような方法はいかがでしょうか。今後の改善策については、業者側と施設側とでの取り決めが必要なので、感染対策委員会やSPDなどの関連する部門と調整するようにしてください。

滅菌物搬送用の台車の高さについても基準がないことは事実ですが、一般論として前述の開放棚に滅菌物を保管する場合の基準を参考にして、搬送用台車の棚の高さは20cm以上にする必要があります。
滅菌物を台車で搬送するときのその他の注意点として病院機能評価2) のVer.5.0では「滅菌された物品は清潔なカート、覆いを用いて搬出し適切に保管する。」「汚染された物品の搬入と、滅菌された物品の搬出、保管の経路が交差していない。」との基準があります*

 *病院機能評価Ver.6.0では簡略化されていますがVer.5.0に記載されていた評価項目は実施する必要があります。

また、医療施設における滅菌保証のガイドライン20103) では、以下のように勧告しています。
勧告の段階付け:A**

  • 清潔状態または清潔性が維持できる密閉容器または扉付きカートで搬送する。
  • 担当者は滅菌物の取り扱いについて教育されている。

 **勧告の段階付け
 A:病院内滅菌をおこなっているすべての施設で実行すべき項目
 B:病院内滅菌をおこなっている施設で可能な限り採用すべき項目
 C:病院内滅菌をおこなっている施設で適宜採用すべき項目

滅菌物の搬送方法については、それぞれの要求事項を達成するために施設の状況に応じた対策が必要となります。

参考文献
  1. 中材業務及び滅菌技法研究会:中央材料滅菌室のテクニシャンのためのトレーニング・マニュアル:米国病院協会,米国保健医療中央材料部門専門学会,2001.
  2. 日本医療評価機構,総合版評価項目Ver.6.0,http://jcqhc.or.jp/html/documents/pdf/v6.pdf
  3. 日本医療機器学会:医療現場における滅菌保証のガイドライン2010,92,2010.

この質問に回答いただいたのは・・・

島崎豊先生

愛知県厚生連海南病院 医療安全管理部 感染対策室 感染管理責任者 看護師長

1977年大雄会一宮看護専門学校卒業、大雄会病院、知多市民病院、1990年より現職。日本看護協会感染管理、聖路加国際病院感染管理、国立国際医療センターエイズ看護、県立愛知病院結核感染予防などの研修を修了。1994年感染管理責任者。医療安全管理部、感染対策室を立ち上げ現在に至る。日本医療機器学会理事、日本環境感染学会評議員、職業感染制御研究会幹事、中部地区中材業務研究会会長、歯科感染予防研究会会長。

愛知県厚生連海南病院 医療安全管理部 感染対策室 感染管理責任者 看護師長 島崎豊先生