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生牡蠣はお好きですか?これから流行るノロウイルスの消毒について|学習ブログ|ASP Japan合同会社

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寒い時期の感染性胃腸炎

感染性胃腸炎は秋から冬にかけてウイルス、細菌などの病原体が原因となっておこる胃腸炎です。

その原因のほとんどはウイルスなので、抗生剤は効果がなく治療薬もありません。

ウイルスは乾燥や低温を好むものが多く、人の免疫も乾燥や低温によって下がるので胃腸炎だけでなく、インフルエンザや感冒が冬に流行るのはこのためです。

牡蠣の食中毒とアレルギー

ノロウイルス感染の危険性がある生牡蠣

ノロウイルスは感染性胃腸炎の原因の1位であり、冬にピークを迎える傾向があります*1

ノロウイルスは牡蠣やあさりなどの二枚貝に多く潜んでおり、十分に加熱せずに摂取すると感染の危険が出てきます。

「昔、牡蠣にあたったことがあるから、食べられない体質なんです」という言葉をよく耳にしますが、実は食中毒とアレルギーの2つの可能性があります。

ノロウイルスやビブリオによる食中毒もしくはトロポミオンという成分のアレルギーが考えられます。アレルギーの場合は十分に加熱した牡蠣であっても症状はでてしまい、アナフィラキシーショックがおこる可能性もあります。

余談ですが、私は生牡蠣が大好きで、先日、岩手県陸前高田に生牡蠣を注文しました。

ケースをあけると沢山の立派な生牡蠣! 

その脇に「こちらの生牡蠣はノロウイルス検査をしており陰性でした」と記された用紙が入っており、すごい時代になったものだ!とびっくりしました。

宮城県漁業協同組合の専用サイトにて特定の海域で採れた牡蠣でノロウイルスの検査を行っており、1週間ごとに結果を公開されているようです*2

また、採った牡蠣を紫外線やオゾンで滅菌した海水につけて浄化する場合もあります。

ノロウイルスに感染した際の症状

トイレで腹痛に苦しむ女性
症状についてですが、成人では下痢、嘔吐などが1~2日ほど続き、その後治癒します。
 
しかし、子供や高齢者では脱水などをおこし重篤になるケースもあるので注意が必要です。
 
非常に感染力が強く、ひとりでも感染者がいると 家庭内発生や校内発生、施設内発生などをおこしてしまうため、広がらないようにしないといけません。
 

子供からの感染に注意!

 
診察をしているとノロウイルスにかかった成人の多くが、子供からうつっています。
 
子供がかかった際の子供の吐物を手で受け止めたときや感染者が触ったドアノブなどを触ったときの接触感染や、吐物や下痢などの処理をしたりしているうちに口から入る飛沫感染に気をつけなくてはなりません。
 
こういった二次感染を防ぐためにも十分な消毒処置が必要になってきます。
 
吐物などは使い捨てのマスク、ガウン、手袋などをつけ、ペーパータオルなどで静かに拭き取り、塩素消毒後に水拭きをし、使用したものはビニール袋に入れて密封して廃棄します。
 
新型コロナウイルスの流行によりアルコール消毒が一般的になりましたが、ノロウイルスにはアルコール消毒はあまり効果がありませんのでご注意ください。
 
消毒薬については、汚物処理セットがすぐに手に入れば、その中に塩素消毒薬だけでなくエプロン、手袋、凝固剤などが入っているため簡単ですが、(職場などでは、いざという時のために用意しておきましょう)手に入らないときは、次亜塩素酸ナトリウム(市販ものものではキッチンハイターやキッチンブリーチなど)を薄めて使います。
 
その際は薄めず原液をかけると有害ガスが発生することがあるので気をつけましょう。
消毒処置を行っている女性

塩素消毒液の作り方

 次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めて「塩素消毒液」を作ります。
なお、家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できます。
✳濃度によって効果が異なりますので、正しく計りましょう。
 
次亜塩素酸ナトリウムで作る塩素消毒液の希釈早見表
 
▶製品ごとに濃度が異なるので、表示をしっかり確認しましょう。
▶次亜塩素酸ナトリウムは使用期限内のものを使用してください。
▶嘔吐物などの酸性のものに直接原液をかけると、有毒ガスが発生することがありますので、必ず「使用上の注意」をよく確認してから使用してください。
▶消毒液を保管しなければならない場合は、消毒液の入った容器は、誤って飲むことがないように、消毒液であることをはっきり明記して保管しましょう。
厚生労働省「ノロウイルス食中毒予防対策リーフレットPDF」より
 
 

手洗い・うがいを大切に

感染性胃腸炎は必ずしもノロウイルスを口にしたら発生するというものではありません。
 
日頃の体調管理・うがい・手洗いが基本になりますので、それを怠らず、寒い冬も元気に過ごしていきましょう。
 

*1:厚生労働省令和2年12月10日「ノロウイルスの感染症・食中毒予防対策について」
*2:JFみやぎ衛生対策「ノロウイルスの発生状況」

2022年12月(令和4年)

小川明子
順天堂大学卒業後、消化器外科医として働いたのち現在は外科医、総合内科医、往診医、産業医として従事。
プライマリケア学会指導医、日本外科学会専門医、日本消化器病学会指導医
 
 

 

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