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AI内視鏡~進化した技術に秘められた可能性~|学習ブログ|ASP Japan合同会社

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AI内視鏡~進化した技術に秘められた可能性

初めまして、横浜の消化器クリニックで日々診療にあたっている、白畑(しらはた)です。

私は大学卒業後、消化器外科医として大学病院からいくつかの基幹病院に勤務したのち、現在のクリニックを開業しました。さまざまな職場で働かせていただいたことから、消化器外科医として、また一人の医師として多くの経験をさせていただくことができました。

このコラムでは、私が常日頃考えていることや気になったことを、自らの経験のみならず、今も交流を続けている過去の職場の先輩・同僚の先生方からのお話などを交えつつお伝えしていきたいと思っております。お気軽にお付き合いください。

白畑敦先生の似顔絵

<A I内視鏡>って、どんな凄いもの?

現在、私のクリニックでは、<A I内視鏡>を導入しています。この大仰な名前を知って診察に来られる患者さんの中には、治療が終わった後に「あれ、先生?いつA Iやってくれるんですか?」と聞いて来られる方もおられます。

こうした方たちは、<A I>というと、青い光が飛び交うS F映画のワンシーンを期待して来院されたのかもしれません(笑)。

ところが、実際の患者さんの景色からすれば、これまでの治療とちっとも変わることがない。「あれ?」と肩透かしをくったような気持ちになられるのでしょう。

診察中の患者さんが疑問に感じている様子

読者のみなさまはご存じの通り、<A I内視鏡>は、内視鏡によって得られた知見を多方面から集約し、内視鏡に関する知識のデータベースを診療に活かす<道具>にほかなりません。

私も使ってみないことにはどの程度なものなのかも判断できないだろうと、2年ほど前*に自院への導入を決めました。一方で、予算額の大きな大病院であってもまだ取り入れられていないと聞いています。

おそらく内視鏡専門医にしてみれば、“病巣は簡単に見つけられるもの”なので、A Iによる知見も技術も必要性を感じないからなのでしょう。

加えて、決して安からぬこの技術には<点数>も付きませんから普及が進まないのも無理もないです。

余談ですが、大学病院に在籍する知人でさえ、私のクリニックに見学に来たぐらいです。

A I内視鏡は進化の途上で、現在、何ができて何ができないのかは未知数な部分だらけ。しかし、そこはA Iお得意のデータの蓄積があるわけですから、特定領域や希少な症例の鑑別においては限定的なシンギュラリティは遠い未来のことではないと考えています。

活躍の場は内視鏡専門医のいない場所

日本国内どこにでも内視鏡専門医がいるとは限りませんので、非専門医の先生が見逃してしまうような悪性の腫瘍をA Iが見つけ出してくれるといったことは、現実的なニーズとしても考えられるところです。

研修医も、<長年の経験を積んだ先生方のノウハウ>が見守ってくれるので、臨床の場でも心強いでしょう。

新人医師の背後から見守る複数のベテラン医師

また、実際の手術においても内視鏡に関する知見の乏しい先生であれば、安全を見てガッツリ組織を取ってしまいがちですが、幅広い知見を集積したA Iの示唆によって“つまむ”ぐらいで済むようになるかもしれず、患者さんにとってもより低侵襲な治療が期待できます。

健康診断での見落とし防止と低侵襲な手術が増えれば、切迫し続ける医療経済に多大なメリットをもたらすことでしょう。

さらに世界に目を向ければ、アフリカなどの医療体制が未整備な地域でも、A I内視鏡があれば、専門医が後ろで見守ってくれているのと同等の環境をもたらすことができるわけです。

A I内視鏡は、現時点では「まだまだだな」と思うところも多い技術ですが、今後データが蓄積され、A Iの能力が上がれば上がるほど、活躍の機会が増えてくることを期待しています。

さて、次回のコラムのテーマは<ロボットによる手術>を予定しております。近年、消化器外科の領域ではロボット支援下内視鏡手術がトレンドなのですが、この技術の広がりとともに少し気になることもありましたので、お伝えしたいと思います。

では、みなさま、胃腸を労って、健康な毎日をお過ごしください。

*:2021年2月に下部内視鏡、2023年1月上部内視鏡で導入

 


2023年4月(令和5年)
白畑 敦(しらはたあつし)
消化器外科医。しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長。山形県出身。
昭和大学医学部卒業後、大学病院や総合病院などで勤務したのち、現職。
日本外科学会、日本消化器外科学会、日本消化器内視鏡学会ほか専門医。趣味はワイン、柔道四段。

 

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