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便秘は病気?|学習ブログ|ASP Japan合同会社

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長引く便秘には適切な診察を

すでにひどい便秘で悩んでいる場合、よくいわれているような、食事・運動・睡眠の改善を試みたところで、症状は簡単には改善しません。

便秘が慢性的である場合、病院にて診察を受け、適切な検査を行い、原因を特定することが必要です。

医師は病歴を詳細に調べ、必要に応じて適切な治療を施し、便秘が何らかの病気の兆候であるか明らかにできます。

身近にある市販薬や漢方薬のほとんどは、腸に働きかけて便通を促す刺激薬が中心ですが、やみくもに使用するのは、かえって状況を悪化させかねません。

そのかわりに、症状ごとにエビデンスに基づいた薬を処方してもらうことが肝心です。

 

なかなか治らない下痢

便秘のほかに「下痢」も日常的に悩まされる頻度の高い症状です。

不快感の大きさからすると、下痢の方が便秘以上に改善したいと感じる方が多いかもしれません。

しかし、通勤通学の満員電車でトイレに駆け込みたくなったり、乳製品や油の多い食べ物を食べると必ず便が緩くなるというような、何度も繰り返す過敏性腸症候群の人は、下痢という症状が心理的なブレーキとなるためか、自己判断で治療しようと、下痢止めの市販薬に頼ったり、生活習慣の改善を試みたりと、独自の治療方法で迷走しがちです。

満員電車でトイレに行きたくなり困っている男性

高熱、血便、脱水症状、下痢が数日間続くなど、病気の兆候がはっきりしている場合を除いて、間隔の不確定な、度重なる軽度の下痢は、1回の病院受診では治らないことも多く、病院に行くインセンティブが働かないこともあります。

頻回の下痢を症状とする過敏性腸症候群の治療としては、薬の処方に加え、下痢を引き起こす特定の食品、もしくは行動があれば、それを摂取・実行しないことを勧めることになります。

治療法に明確な答えがないので、対症療法になりがちですが、医師はその知識と技術をもって患者さんのQOLを優先するアドバイスをします。

原因のはっきりしない便秘や下痢の診療を続けるのは難しいことですが、医師はしっかりと患者さんに向き合っていきます。

便通異常症の原因はどこに?

「腸が長い人は便秘になりやすい」とまことしやかにいう人もいますが、明確な答えはありません。

ただ肛門の筋肉が弱っているなどの原因により、便を押し出せない人は確実に便秘になります。

このことを見過ごしてしまうと、この患者さんへ便秘薬が処方され、健康だった腸内がかえって悪化して、最悪下痢を起こしてしまうことさえあります。

わたしの病院では、便秘でも下痢でも、便通異常の症状がある患者さんへは、肛門内圧検査をして、おしりに問題がないかを確かめるようにしています。

肛門の閉まる圧力を調べるこの検査は、消化器を扱う医師からすれば、決して特別なことではないのですが、内圧検査機を保持している病院はまだ少ないようです。

便秘や下痢に対する治療の標準化が進むといいなと思っています。

肛門内圧検査の様子



便通異常症は通院にて治療を

便通異常症に対するガイドラインの確定やエビデンスに基づいたより多くの新薬の登場は、どのような医師でも基準に従って適切な治療が提供できるようになるために必要な過程であり、患者さんにとって非常に有益な進歩となります。

 

ガイドラインのイメージ

便秘や下痢は一時的な問題である場合もありますが、長期で悩まれている場合、他の病気の兆候が潜んでいるケースもあります。

市販薬や漢方薬は、短期的な症状の緩和には有用かもしれませんが、長期間にわたって使い続けるのは慎重になるべきです。

長期間の薬物使用は依存症や薬剤耐性のリスクを伴い、症状を悪化させる可能性があるからです。

したがって、便秘や下痢といった健康問題に直面した場合、自己診断や自己治療に頼るのではなく、信頼できる医師に相談し、適切な医療ケアを受けることをお勧めします。安易な自己判断で慢性的な便秘や下痢をしのぐことよりも、便通の異常は病気と考え、病院での診察を検討すべきでしょう。



2023年11月(令和5年)
白畑 敦(しらはたあつし)
消化器外科医。しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長。山形県出身。
昭和大学医学部卒業後、大学病院や総合病院などで勤務したのち、現職。
日本外科学会、日本消化器外科学会、日本消化器内視鏡学会ほか専門医。趣味はワイン、柔道四段。

 

 

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