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過酸化水素の世界② 過酸化水素がつくる白い生活 |学習ブログ|ASP Japan合同会社

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バイオ洗浄で壁を白くする

白い壁の新築の家も月日が経つと緑のコケや茶色の汚れでおおわれてしまいます。

このような外壁の汚れは高圧洗浄とバイオ除染で洗浄します。高圧洗浄は物理的に水圧で汚れを落とす方法です。一方、バイオ除染はバイオ洗浄などともよばれる化学物質を使った掃除方法です。

新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、ウイルスを除去する製品が数多く販売されています。バイオ除染の主役のひとつは過酸化水素水です。

今回は、バイオ除染と過酸化水素のお話です。

発展するバイオ洗浄産業

 

過酸化水素②-1

 過酸化水素をベースにしたバイオ除染は安全性が高いことから病院などの医療の現場でもよく使われています。すべてのバイオ除染を含めると世界ではどれくらいの市場価値があるのでしょうか。

世界中の様々な業界での分析と予測データに基づく統計市場調査レポートを提供する渋谷データカウント(SDKI Inc.)によると、バイオ除染市場は2022年に約14,600万ドル(約166億円)、2030年までに約22,100万ドル(約252億円)になると予想されています*1。

この背景には、新型コロナウイルスはおそらくこの先数年にわたって蔓延する可能性があること、次の新興ウイルス感染症が出現するかもしれないこと、日常生活や病院における感染症対策の意識が高まっていること、バイオ除染の機器メーカーの新規機種の市場への積極的投入、国家の感染症対策などの多くの要因があると思われますが、バイオ除染産業が急速に発展していくことは間違いないでしょう。

病院でも過酸化水素

過酸化水素②-2

これまで病院などの施設における病原体の除染には、主にホルマリンが使われてきました。いわゆるホルマリン燻蒸です。

ホルマリンは精密機器を傷めるので、医療機器のある部屋では最新の注意を払いながら実施しなければなりません。また、発がん性があることなどから使用に関しては法律で規制されています。

ホルマリンに代わって、脚光を浴びているのが過酸化水素ガスを発生する装置を使った除染です。過酸化水素の殺菌や抗ウイルス効果のメカニズムについては前回のブログをご覧ください。

安全で安心なバイオ除染は用途がさらに広がります。無菌環境を作れることは医薬品の研究開発分野にもその力を発揮できます。過酸化水素には、歯のホワイトニングや白い外壁を取り戻す、病原体の存在しない病室にする、などの「白」「クリーン」の良いイメージがあります。

 

過酸化水素がなくなってしまう?

過酸化水素②-3

ますます活躍が期待される過酸化水素ですが、ふんだんに使い続けたら無くなってしまったりしないのでしょうか。

著者が小学生のころ(約50年前)は、社会科の授業で「石油は50年で枯渇する」と教えられていました。とある日から、ストーブや車が動かなくなってしまうのかと心配になったものです。ところが50年たった今でも、石油(原油・化石燃料)の供給は続いています。

では、過酸化水素は世界中でどれくらいの量が存在しているのでしょうか。過酸化水素は酸素と水素で出来ています。したがって、この2つの元素を材料として工業的に作られます。様々な製造方法がありますが、この世に酸素と水素がある限りは大丈夫そうです。そして、過酸化水素が除染などの力を発揮したときには再び水素と酸素にもどりますので、それらを利用すればほぼ永久に作ることができるのでしょう。

このように過酸化水素は私たちに明るい未来を保証してくれます。なんだか過酸化水素にはもっと用途があって、もっと便利な世の中になるような気がしませんか。

次回は過酸化水素がクリーンエネルギー分野の主役になるかもしれない、というお話をします。

*1:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001039.000072515.html

2022年1月(令和4年)

水谷哲也
東京農工大学農学部附属 感染症未来疫学研究センター 
センター長・教授 獣医師・博士(獣医学)

 

過酸化水素を用いた滅菌器はこちら

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