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病院経営における内視鏡洗浄|学習ブログ|ASP Japan合同会社

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病院経営で業務プロセスの最適化は重要な戦略

医療機関の運営において、カルテの電子化や予約・受付システムの改善など、業務プロセスの最適化は不可欠な戦略です。

これは、医療従事者の働き方改革推進の観点からも今後さらに重要なテーマとなっていくと考えます。

医療サービスの提供効率が向上することで、患者満足度は高まります。

私は大腸肛門病を専門にする外科医として、日々患者さんのケアに努めながら、開業医としては、医療プロセスの見直しと改善に取り組んでいます。

 

働き方改革の影響

2024年4月から施行される働き方改革は、医師たちにも例外なく大きな影響を与えます。特に、勤務後の休日や残業量に対する厳格な制限が注目されています。

一方で、医療体制全体に及ぼす影響については議論の余地が残っています。もしかすると、現行の医療制度においては、医師たちだけでなく患者さんも、働き方改革によって不利益を被る可能性があるかもしれません。

たとえば、臨床の研修期間が延び、医師が現場に出るまでの期間が遅れることが考えられます。

働き方改革は労働時間の制限を中核に据えていますが、これが逆に医師たちの人間関係や労働環境を悪化させる可能性も指摘されています。つまり、働き方改革が進む中で、執刀医が休日で不在となる事態も発生するかもしれないのです。

このような状況が生じれば、医師と患者さんとの関係もどこか乾いたものになってしまいます。
医師同士の人間関係を見ても、以前と比べて冷え切っているという声も耳にすることもあります。

個人的には昔ながらの先輩後輩関係に基づく連帯感が薄れていると感じる向きもあります。

 

標準化された内視鏡検査における消毒

内視鏡検査は、現在、消化器官に関する疾患の治療において欠かせない検査のひとつです。

当院でも一日に何回もおこなわれているわけですが、当然、内視鏡器具は滅菌や消毒をして、繰り返し利用することになります。

内視鏡洗浄ガイドラインに基づく標準的な洗浄手順によって、手術室の清掃から内視鏡の洗浄、器具の準備までの過程が効率的に組み立てられています。

内視鏡技師と医師、関わるスタッフはそれに厳密に従います。

ご存じの通り、内視鏡の洗浄過程では、内視鏡を構成する各部品が丁寧に分解され、専用の洗浄液やブラシを使用して、内視鏡の表面や内部を徹底的に清掃します*

洗浄後は、自動洗浄器を使用して、内視鏡を消毒します。

加えて、内視鏡のメンテナンスや交換も定期的に行われます。内視鏡のレンズや照明装置、曲がり部などの部品は、使用頻度や検査結果に基づいて定期的に点検・交換されます。

これにより、内視鏡の性能が常に最適な状態に保たれ、検査の品質が高い水準で実施できます。

こうした具体的な取り組みにより、内視鏡検査の信頼性が向上して安心感が提供されているのです。

 

消化管用電子内視鏡の基本構成サイズ調整

経営戦略の重要なポイントはコスト削減

開業医院の現場では、切除系の処置具のほとんどはディスポーザブルであり、生検鉗子は滅菌して再利用しています。

高水準消毒薬といった消毒薬の進化によって、消毒精度が向上した現在、内視鏡検査の数が増加する中での経営戦略として考慮される重要なポイントは、機材そのものの値段だけでなく、洗浄器の電気代や処置具の消毒補充などにかかるランニングコストです。

多くの開業医院においては、そういった観点から選ばれた内視鏡洗浄器と複数のスコープや処置具を使うことで、内視鏡の運用が効果的に行われています。

 

検査のための血液検査はほとんどなくなった

 

かつては内視鏡の汚染への不安から、内視鏡検査前後に、感染症の有無を調べる血液検査が行われていました。

現在では、内視鏡検査室では、患者さんが検査台に横になる前にも、入念な消毒が行われるのが当たり前になっています。

内視鏡自体も、先に述べたように一回の使用毎の高度な消毒装置により、ウイルスや細菌の除去が行われています。

消毒技術の進歩により、感染予防を目的とした血液検査の必要性はほとんどなくなったといえます。

今では、内視鏡検査に付随して行われる血液検査は、胃がんリスク検査など、より明確な目的のためにされることが大半です。

これにより、患者さんと医療スタッフの安全性が向上し、内視鏡検査にまつわる作業負担も軽減されました。

血液検査用血液サンプル

 

業務プロセスの見直しは患者ケアにつながる

 

血液検査の省略により、検査にかかる医療費の節約も可能になりました。

これは医療が、よりアクセスしやすく質の高いものになっていった一環といえるでしょう。

内視鏡診療がますます高度化、複雑化する中で、医療機関全体でのランニングコストを考えた業務プロセスの改善は、患者さんの安全を第一に考え、患者ケアを向上する重要なステップです。

これからも最新の医療技術を検討して、業務の効率化を図り、患者さんに向けてより質の高い医療を提供してまいります。

 

クリニックに立つ監修医白畑先生

*:日本消化器内視鏡学会「消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン」

2024年1月(令和6年)
白畑 敦(しらはたあつし)
消化器外科医。しらはた胃腸肛門クリニック横浜院長。山形県出身。
昭和大学医学部卒業後、大学病院や総合病院などで勤務したのち、現職。
日本外科学会、日本消化器外科学会、日本消化器内視鏡学会ほか専門医。趣味はワイン、柔道四段。

 

 

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