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身近な病気ほど負担の少ない手術に|学習ブログ|ASP Japan合同会社

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身近な病気ほど負担の少ない手術に

古来手術というものは、開腹手術が基本でしたが、日本は世界を席巻する消化器内視鏡の開発国でもあり、内視鏡手術、腹腔鏡手術を真っ先に取り入れることができたのが、私が携わる消化器外科だったといえます。

今日は低侵襲化する消化器外科についてのお話をさせていただきます。

 

大きく切り開き、大きく取り除く時代からの脱却

以前、先輩医師たちから、かつての著名な消化器外科ドクターの手術では創部が大きくなる傾向があったと聞いたことがありました。

当時、消化器がんの手術においては、拡大手術・拡大リンパ節郭清が予後に良いと信じられていたことが背景にあるようです。

疾患そのものに焦点を当てれば、最大の安全策をとりたくなる気持ちはわからなくはありません。

その後、内視鏡技術の発展が、消化器領域の低侵襲化を加速させることになりました。代表的なものに、内視鏡手術、腹腔鏡手術があります。

腹腔鏡手術は、術後の痛みが開腹手術に比べて極めて少なく、回復も早いことから入院期間が短縮され、傷跡が目立たないというメリットがあります。また、内視鏡手術に至っては、かつては開腹する必要のあった食道・胃・大腸といった消化管の早期がんやポリープの治療を最短日帰りで行うことができるようになったのですから、それは画期的なことだったわけです。


また、画像診断技術の発達で、切除箇所がより正確に把握できるようになったことから、「余分に取りすぎない」手術も実現するようになりました。
外科手術において、患者数の多い消化器領域で、多くの方々の体を傷つけずに済むようになったのは本当に喜ばしいことです。

 

消化器外科のスタンダードになった腹腔鏡手術

 

腹腔鏡手術の仕組み

こうしたメリットの多い腹腔鏡手術ですので、ここ30年くらいの間に爆発的に普及することになったわけです。
ここで簡単に腹腔鏡手術の仕組みをご説明したいと思います。

まず、患者さんのお腹に炭酸ガスを注入して十分に膨らませ、手術のための場所(術野)を確保します。お腹に穴をあけ、小型のカメラ(腹腔鏡)を挿入し、手術する部位を確認し、他の穴から鉗子を差し込んで手術を行います。

こうして図にしてみると、本当にシンプルで、訓練を受ければ多くの外科医が習得できる技術であることがわかります。


胃や大腸の開腹手術では、腹部を20から30センチほど切り開きますが、腹腔鏡手術であれば、5ミリから1センチ程度の傷を数箇所切開して行い、臓器摘出の場合はその大きさによって、3から5センチ程度切開しますが、開腹手術に比べてはるかに小さな傷口で済んでしまいます。

腹腔鏡手術でやれることはますます増えていて、消化管を切ってつなぐことも、がん治療のためのリンパ節切除といったことも可能になっています。

臍部(へそ)からの単孔式腹腔鏡手術では、手術の痕跡すらわからなくなる患者さんもいらっしゃるようです。

当然、腹腔鏡手術は低侵襲で患者さんの回復が早く、これに伴う合併症も激減することになります。

開腹手術と腹腔鏡手術の傷口の違い

さらに進化した「低侵襲」のカタチ

内視鏡手術支援ロボットを操作している様子

現在、大学附属病院や基幹病院では、内視鏡手術支援ロボットが急速に導入されています。

ロボット支援手術は従来の腹腔鏡手術を上回る「低侵襲」を実現しつつあります。それは、三次元による正確な画像と、人間では再現できないような複雑で細やかな鉗子さばきがもたらしているようです。

執刀にあたっては、外科専門医、消化器外科専門医、腹腔鏡手術に精通している認定医(日本内視鏡外科学会技術認定医)、治療ロボットを製造している企業の認定医が参加し、万全の体制で手術に臨みます。

保険適用領域もどんどん拡がっていて、いずれ消化器外科においては、腹腔鏡手術に代わるスタンダードな治療として定着する日が来ることでしょう。

より患者さんへの負担を軽減すべく、進化し続ける「低侵襲」な外科技術の未来に寄り添っていきたいと思っています。


小川明子
順天堂大学卒業後、消化器外科医として働いたのち現在は外科医、総合内科医、往診医、産業医として従事。
プライマリケア学会指導医、日本外科学会専門医、日本消化器病学会指導医、在宅褥瘡管理者

 

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